ネクスト経済研究所|国内外の経済・政治・社会の方向性を洞察

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行く年来る年

2018.12.30 10:35

クリスマスが目前に迫り戌年も残すところわずかとなり間もなく亥が登場する。この休暇前のタイミングでのFOMCの声明そして議長発言がタカ派的なニュアンスだったことから、米国株価が急落し金融市場はリスクオフを強めている。どうやら弱気相場は来年へ持ち込まれそうな見通しだ。本年は春先から夏にかけて各市場は右肩上がりの上昇を続けていたが結局昨年末の24,700ドルから現在の22,500ドルと年初来の安値水準での越年になりそうだ。そしてドル円(昨年末112円70銭、現在111円20銭)は104円~114円と10円の小幅変動に止まりほぼ年初と同水準での終了の見込みだ。今後もフラットニングの傾向を強める米国債市場の動きに左右されることになるだろう。特に米国債(10年物、昨年末2.4%、現在2.8%)は一時3.2%を超えたが、FRBの利上げ路線に打ち止め感も台頭しており、亥年の金融市場は否が応でも米国景気の減速と金利低下の影響を受けることになるだろう。

 

さらに今後の相場を決定する材料として注目されるのが、「世界経済の下振れリスク」だろう。実際米中問題、ブレクジット、日本の消費増税などリスクの芽が内在しており、その表面化は経済成長を毀損し金融市場を直撃するだろう。とりわけ米中貿易戦争の行方については米国による輸入額2000憶ドルへの追加関税は90日間の延長が決定されたもののその期限は2月末に迫る。クドローNEC委員長などの発言は事態の好転を期待させるが、ナバロNTC委員長やライトハイザーUSTR代表などの対中強硬派の発言は今後の厳しさを予感させる。

 

一方日本の周辺環境を見渡すと、現在の好景気は来年1月にはイザナミ景気を超えて戦後最長になる。そのメリットの実感が乏しいのがイザナギ景気やイザナミ景気と違うところだが、10月に迫った消費増税により現在の経済成長が腰折れする懸念は強まる。実際軽減税率やキャッシュレス優遇などの対応が図られる見込みだが、来年の日本経済の押上げ要因については30年前のバブル景気の最後に見られたような改元効果ぐらいしか明るい材料が見当たらない。つまり亥年は景気減速と長らく続いた過度な円安の大幅調整は必至ではないだろうか。近頃の傾向として第一四半期は年末の為替需給タイト感から一転しての余剰感にドル安円高傾向が目立つ。この季節性にはくれぐれも要注意だ。

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115円はシーリングか

2018.12.18 08:52

2015年6月にドル円相場が125円に達した際に、黒田日銀総裁は、現行水準は実質実効レートで見れば円安だ、と語った。その結果125円は黒田シーリングと呼ばれるようになったが、実際その後の3年間の円相場はほぼ100円~120円の間を上下動している。そして今年も104円から114円の間で推移しており今や125円は絶対的な天井になったと言っても良さそうだ。さらに詳しく見れば115円もひとつのシーリングになったと言ってもよさそうだ。さる10月4日に114円60銭台を付けたものの111円台まで下落した。振り返れば昨年3月に115円を割り込んで以来6度にわたり114円台まで上昇したが、115円を抜くことが出来ずにことごとく跳ね返されている。つまり115円が黒田シーリングに続く強固なシーリングになりつつあると言えようか。

 

過日ムニューシン米財務長官は物品貿易協定(TAG)交渉において「為替条項」導入の可能性に言及した。その発言について日本の麻生財務相や茂木経済財政相などがこのような話し合いをした経緯が無いなどと全面否定の発言を行っている。トランプ大統領がこれまで再三ドル安を望む不規則発言を行っているが、ムニューシン財務長官は一貫して長期的にドル高が望ましいと言ってきた。それだけに今回の発言に米国の真意が垣間見えた気がする。一方米財務省が為替報告書において、貿易黒字をため込み円安誘導疑惑がつきまとう日本を引き続き「為替監視国」に指定した点も改めて気になることだ。つまり米国は115円を前にした水準において為替に関する発言を頻発させることからしても明らかに115円は円安過ぎるとの意向を根強く持っているのではないだろうか。

 

現在の金融市場は米国がトランプ減税でバラマキを行って景気浮揚を図り、一方で金利の高め誘導を行っている。他方日本は日銀がハードランデイングを回避しながら出口戦略を進めるという至難のナローパスを探っている。つまり日米金利差の拡大基調は不変であり、さらに原油高の影響や季節要因のドル需給のタイト化を受けて米ドル買い円売りが根強く続くことになるだろう。とはいえ実質実効レートベースでは史上まれにみる円安水準であること、さらに安倍政権誕生以来6年にわたり円安が続いていることを考えてみれば早晩新たな局面、つまり円高へと大転換してもおかしくないように見える。とすれば115円シーリングを念頭に113円~114円はドル売りポジションを作るチャンスではないだろうか。

 

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円買いのタイミングは?

2018.12.18 08:48

「年末はドル高」とのアノマリーが浸透しているようでドル円相場は押し目買いが引かず113円あたりで高止まりしている。確かに日米金利差を考えればドル買いが魅力的に映るのだが、以下に述べる3つの金融リスクを考えるとやはり上がったところは売りではないだろうか。ということでそろそろ日計り商いはやめて本格的な円買いポジションを作ろうとその時期と水準を探している。

 

その第一のリスクはパラダイムの転換が進みつつあることだ。リーマンショック以降未曾有の金融緩和により世界的に株高・ドル高が進んできたが、すでに米欧が金融正常化へと転じていることから、これまでの低金利を背景にしたビジネスモデルが機能しなくなりつつある。実際米国の株式市場は過去10年で6千ドル台から26千ドル台まで上昇した。しかし2018年を振り返っても2月には約3千ドルの下落、そして10月にも2千ドルの下落と調整局面が目立つようになった。さらに11月に入り米国株高の象徴でもあったアップルが下落に転じたことはパラダイムの変化を如実に語っている。過去10年余りで90憶個ものスマホが売られたと言われる通り、すでにアップル商品は世界中に行き渡りその飽和感にアップル神話も影が差してきているのは否めない。

 

そして第2点がチャイナリスク勃発の懸念だ。現状11月30日~12月1日にアルゼンチンで行われるG20での米中首脳会談を前に両国関係の改善が期待されている。しかし米国は米中貿易戦争を経済問題としてではなく、安保問題つまりG2の覇権争いととらえている。つまり米中の雪解けが世界の通商問題を好転させると単純に考えるのは難しい。そして中国経済の実情はといえば、ゴーストタウンに見られるように過剰投資と過剰債務による高度成長を継続するのはもはや限界だ。さらに2500近辺で低迷する上海総合指数が底割れする可能性もなしとせず、チャイナリスクは今や発火寸前と言うところだ。

 

そして3番目に気になるのは日本の財政・金融リスク爆発の恐れだ。安倍首相はアベノミクスの集大成としてこれからの3年を位置付け、異次元緩和からの脱却を能天気に語っている。しかし日銀の資産残高は553兆円とGDPを超え、副作用により銀行が疲弊し金融システムは脆弱化しているだけに先行きは暗い。つまり外的なリスクにより円高デフレが再発した場合その難局に対応すべき次の一手が見当たらないのだ。一方円安は6年にもおよび米ドルも名目実効レートベースで見れば歴史的な高水準となっている。したがって相場の循環理論にしたがえば、早晩円高・ドル安への調整が起きるのは必然だろう。つまりいつどこで中期的な円買いポジションを作るかが当面のテーマであり、12月そして114円がひとつの目途ではないかと思っているところだ。

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