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十年一昔

2018.07.21 09:25

近頃の金融市場はAIやアルゴリズムが進化して瞬時に大幅変動が起きやすくなっているだけに、「十年一昔」さらに「二十年大昔」と言われるように月日の経つのが早くなった。今年はリーマンショックが起きた2008年9月からちょうど10年目の節目だ。したがって10年前の出来事が語られる機会が増えてくるのだろう。そんなおり日銀は10年前つまり2008年1~6月に行われた金融政策決定会合の議事録を公開した。それによれば6月時点つまり金融危機発生の直前において前年に発生したサブプライムローンの破たんについて全く警戒をする素振りもなく、「全く影響はない」と白川総裁が断定し金融危機への備えなど議論されることなどなかったのである。ことほどさように危機発生前というのはいつも泰平の空気が満ち溢れるようで、当時の金融市場も原油価格が7月11日に147ドルの史上最高値に達するなど世の中リスクオンの気配が横溢していたのである。

 

その後のリーマンショックの惨状は今更詳述するつもりはないが、6000ドル台、6000円台まで日米の株価は急落したが、その後10年で26千ドル、24千円を回復するなど右肩上がりが続いて今日に至った。この背景には非伝統的手法による金融緩和策に加えて、アップル、アマゾンなどに代表されるネット関連企業の成長がある。さらに「のど元過ぎれば熱さを忘れる」の諺の通り金融改革法案の骨抜き化など再び金融市場に投機熱が高まってきたことがあるだろう。とはいえ金融市場は1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、2007年のパリバショックと10年に1度忘れた頃に金融危機が発生しているのである。この10年周期の大波乱について2017年は何事も起こらずに済んだが、だからといって今後大小問わずショックが起きないとも言えない。

 

目下米中貿易戦争は報復関税の応酬が続いているが、米国経済の規模からすればその影響は軽微、そして中間選挙までに手打ちが行われるのに違いない、などとの楽観的見通しが支配的となっている。とはいえ米国よりも経済規模が小さくさらに金融市場の底が浅い中国では市場ではすでに異変が観測されている。人民元は年初の6.2台から6.7台へそして上海株も3500から2800へと2割ほど下落している。このように3年前に発生した「人民元ショック」が再び起きるかも知れない点は要注意であり、現下のリスクオン相場の深追いは禁物ではないだろうか。為替市場には113円40銭の本年最高値を抜け115円を目指すとの強気の声が高まっているが、ここは売りで応戦するのが面白いのではないかと思っている。

 

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円相場下半期の見通しは?

2018.07.02 10:00

目下世界が最も注目しているのは米中貿易戦争の行方ではなく国家の威信をかけたFIFAワールドカップだろう。すでに開幕して1週間が経過したがどの試合も1点の重みを感じさせるものであり、まさに真剣勝負の厳しさこそがこの大会のだいご味と言うところだ。とりわけ強豪ドイツがメキシコに、そして南米の雄アルゼンチンがクロアチアに負けた試合など勝負の恐ろしさを教えてくれるものだった。ともあれサッカーに熱狂する日々がしばらく続くとしても為替市場に参加している限り常在戦場であることから逃れることなどできないし、時はまさに2018年の前半を総括し後半戦の戦略を練るタイミングと言えよう。

 

2018年の前半を振り返ると高値と安値の変動幅は9円。実際112円でスタートして104円台まで下落したものの111円に押し戻されるなど、行って来いの相場になっている。とくに4月以降貿易戦争が休戦状態になったことや米朝ユーフォリアへの期待感も高まったことが戻りの原動力になったが、同時に原油高の影響を受けて5月に6千億円の貿易赤字が計上されたように需給がひっ迫したことが大きく作用したと言えよう。このように為替需給については引き続き原油価格の影響を受けるが、OPECによる減産への足並みが乱れていることから、現状65ドル台の価格が70ドルを大きく超えて行く可能性が少なくなった以上今後不足感はさして高まることはなさそうだ。つまり今後米朝ユーフォリアへの期待感や原油上昇のはげ落ちを考慮する必要がありそうだ。

 

特に下半期の最大の要因は何かと言えばやはり米中貿易戦争の行方であり、同時並行的に行われる日米通商交渉を通じて日本たたきの再燃への懸念だ。もともと米中貿易戦争については米国経済の規模から見れば報復関税の応酬の影響は軽微だとの楽観的な見通しが支配的となっていた。しかしここにきて米国側が500憶ドルの輸入品への課税を決定し、それに対し中国も同額の報復関税を明らかにし、さらに追加的に2千憶ドル分の輸入品に制裁関税の検討を始めるに至り事態の深刻さが浸透し始めた。加えて鉄鋼・アルミで始まった報復合戦もいよいよ自動車へと飛び火する雲行きだ。

 

このように米中間で始まった貿易戦争が欧州、カナダ、メキシコへと拡大する中で、日本だけが例外扱いされるのではないかとの期待など禁物だろう。つまり2018年後半の相場は11月の中間選挙を前にしたトランプ政権の国内重視に翻弄されることになりそうだ。いよいよ円高の夏が始まるのではないだろうか。

 

 

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