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金融工学発展の功罪

2018.02.20 15:40

アポロ13号が月面着陸をしたのが約半世紀前の1969年7月。これを機に宇宙への夢が世界中で広がったが1970年代後半に至り財政負担に耐え切れず中止になった。おかげで本来NASAに向かうべきロケットサイエンティストたちがウォール街に流入することになり、一気に金融工学が開花することになったのはそれなりの必然だった。

 

それ以降の金融市場の目覚ましい発展は知っての通りで、オプションやレバレッジの発展、そしてアルゴリズムさらにAIによる予測技術の日常化などその果実は数えきれない。とはいえその副作用として相場の大幅変動がもたらされたのも事実である。それがまさに2月2日(金)以降の世界の株式同時暴落である。同日発表された米国雇用統計に相場は上昇したが、それも束の間金利上昇が嫌気されて株価が反転。そしてそのハイライトは翌月曜日(5日)のNY市場の後場遅く。僅か数分の間に1000ドルを超える下落となり、その後半値戻し、またまた下落とup downを繰り返し、1日で1200ドルと史上最大の暴落となった。

 

このNY市場の荒れ相場にはアルゴリズムが大きく作用した。数学的に編み出された売買手法が起動してHFT(High Frequency Trading)つまり高速回転取引やストップロス取引が大量に執行された。これまでもアルゴリズムが相場の大幅変動の理由として指摘されてきたが、今回もまた同様と言うことだろう。ここ2~30年の金融市場はレバレッジが縦横に組み込まれているせいで上げ相場はより上がり、下げ相場では収縮がより加速化する。今回についても米国株に続いて米国債、日本株、そしてドル円と売りのオンパレードとなったが、そのきっかけは人間の判断で「人為的」な下げと言った感じではあったものの、その後の売りは「機械的」と言ったもので、まさに人の開発した金融的仕掛けが変動を加速させたと言えよう。

 

リーマンショックから間もなく10年。これまで右肩上がりに上昇してきた相場もトランプ大統領の一般教書演説での自画自賛が相場のピークを告げたのかもしれない。ここ数日は先行き不安も多少収まったようにも見えるが、相場の自律調整は株から為替へとその壁を越え、また米国から日本へと国境を越えて世界へと伝播しつつある。とくに円相場について言えば何よりもレパトリが目立つ季節であり為替需給に不足感は乏しい。しばらくは値ごろ感からのドル買い・円売りの誘惑に負けず円高の潮流に乗るのが得策ではないだろうか。

 

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