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金融政策も為替もアートだ

2017.06.29 21:19

かつて日銀の三重野総裁は「金融政策はアートだ」を口癖とし、金融政策が理論に加え職人芸の世界であることを強調していた。つまり金融政策はセントラルバンカーのプロフェッショナルの世界であると主張していたのであり、その点為替の世界と同様と言うことだろう。しかし目下の日銀では元財務官の黒田総裁が量的緩和という社会実験を強引に推し進めている。マイナス金利を進めて預金者および企業を苦しめ財政再建を優先するスタンスは財務省出身の人ならではとも映り、アートとは程遠い世界のように見受けられる。

 

現在の日本経済は息の長い景気回復が続いていると言われるが、コアインフレ率は相変わらずゼロ%近辺でデフレ脱却の兆しは見えない。一方賃金上昇が確認されない中で2%の物価目標にこだわり、年間80兆円のペースでの長期国債の買い入れを継続することの影響が懸念される。さらにREITやETFなどの購入により日銀の資産がGDPとほぼ同様の500兆円水準へと膨張し、日銀の財務内容が悪化しているのは明らかだ。このような環境下において先週末に日銀は金融政策決定会合を開いたが、現状の政策金利マイナス0.1%、長期金利0%の量的緩和政策に変更はなかった。とはいえその円安効果が年々薄れていることは明白で、4年にわたった「円安相場の終わり」が始まっているように感じるのは筆者ばかりではないだろう。

 

目を海外に転じれば、FRBはすでに金融正常化を進めており、さらにECBもその開始のタイミングを図っている。しかし日銀内部では出口戦略のシミュレーションを始めたようではあるが(実際出口戦略を行うと数兆円単位の赤字が顕現化すると見込まれている)、黒田総裁は出口戦略には全く積極姿勢を見せない。とはいえ変動相場制下における金融政策は、他国からの影響を排除して独立的に運営することが難しいのも事実であり、そろそろ「クロダノミクス」の看板をおろして金融政策の正常化を図る時期に来たのではないか。

 

米国ではトランプ政権におけるインフラ投資への期待がしぼみつつあり、短期金利が引き上げられても長期金利は2.1%台と上昇しない。つまり日米の金利差が縮小する可能性もなきにしもあらずで、中長期的には円高が招来される素地が整いつつあるとも言える。当面110円の攻防が続くにしてもその後は105円を超えて円が上昇するのではないか。これが「為替はアートだ」と考える筆者の目下の相場観だ。

 

 

 

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