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ソロス氏の警告をどう読むか

2016.04.11 10:28

ジョージ・ソロス氏はブダペストに生まれ、米国に渡ってクォンタム・ファンドを設立して空前の利益をたたき出した著名投資家であることはいまさら言うまでもないだろう。第一線を退き「慈善家」とも呼ばれるようになった85歳の今でも、世界の金融市場に絶大な影響力を持ちつづけている。同氏はさる1月21日ダボスでブルームバーグとのインタビューに応じ「中国経済はハードランディングに直面しており、世界的なデフレ圧力の一因になるだろう」と警告し、「中国情勢悪化を考慮して、S&P500ショート、米国債ロングのポジションを保有している」と語った。中国共産党はこの警告に対し「ソロス氏の人民元と香港ドルに対する挑戦は成功しない」とする評論を掲載し、不安打消しに躍起になっている。ただ中国は資本流出による人民元下落に対し元買い介入を続けた結果、外貨準備高は大幅に減少し、不安心理はかえって高まることになっている。

 

ところでソロス氏は、リーマン危機直前の2008年に著書「ソロスは警告する・超バブル崩壊=悪夢のシナリオ」において金融危機を予測するなど、その慧眼そして勝負をかけるときの大胆さを際立たせてきた。哲学者でもある同氏の考え方を体系化した再帰性理論(リフレキシビティ)は難解だが、一言で言えば様々なリスクが共鳴し、実態経済に悪影響を広げるとの解釈が可能だ。具体的にはリスクAがリスクBに影響することによりリスクBがリスクCに伝播し、さらにリスクCがリスクAに再帰してくるとの過程を経てリスクは拡大してゆくとするもの。これらソロス氏の考え方を現在の金融市場にあてはめて考えれば、①米国景気、②原油安、③中国経済、④マイナス金利などについての不安がまちまちに存在している。これらのリスクが互いに共鳴しあって、その共鳴音が最も高まったときに市場の流れが大きくなるが、その共鳴音が高まった第一波が今年1月から2月にかけての円高加速だったといえよう。

 

そして問題はリスク共鳴の第二波が何時来るかだ。ソロス氏の警告の通り中国リスクが限界点に達し市場を飲み込んでしまおうとしていることは明らかだ。とはいえ4月の産油国による「原油増産凍結」に向けた会合を前に原油価格が下がりにくくなっているほか、日銀の追加緩和策への思惑、さらに5月には伊勢志摩サミットや参議院選挙を控えて総合経済対策が打ち出される可能性などが高まる。ということでリスクの共鳴による円高が進むのはしばらく先と考えるのが妥当ではないか。当面の円相場は110円から114円のレンジでの往来相場を想定し、下がればドル買い(円売り)、上がればドル売り(円買い)が機能するのではないだろうか。

 

 

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