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北京で蝶が羽ばたくと   

2015.08.20 17:19

ネクスト経済研究所  斉藤 洋二

上海総合指数は2014年5月の2000水準から15年6月12日に5200に迫るなど急伸していたが、7月9日には3300台と約3割の下落を見た。その騰落スピードはまさに中国株のみならず中国経済バブルの破裂を連想させた。日本の株式市場は個人投資家の占める割合が低く、機関投資家と外人投資家が支配している。一方、中国の株式市場は年金制度が未発達で市場の機関化が進んでおらず、また外人投資家の参入規制もある。従って個人投資家が信用取引を支えにして市場を支配しており、当然その値動きが荒くなる。ただリーマンショック時にも同指数は半分程度へ下落したことからすれば、今回の値動きの激しさは驚くほどではなかったのかも知れない。

 

「北京で蝶が羽ばたくとニューヨークで嵐がおきる」とはもともと気象学で使われていたフレーズで、今や複雑系経済学を代表する表現となった。これは小さな事象が様々な波及経路を辿り予想外に遠い所に伝播し、想定外の影響をもたらすことを教える。現在の世界経済や金融市場は金融技術の進歩によりシステムが複雑となり、リスクが絡みあっている。従って中国で発生した波乱がどのように世界に影響を与えるかについては読みづらい。その背景のひとつには、中国が「社会主義市場経済」という分かりにくいシステムを導入していることもある。このシステムは共産党一党独裁下において自由な経済社会を実現するという他に例の無い試みであり、一般の金融常識が通じにくい。とはいえ「北京の蝶」の動きには今後も最大の注意を払わねばならないということだろう。

 

今回の事象は北京ではなく上海や深圳で発生し、またその影響はニューヨークに嵐ではなく、ギリシャ情勢で神経質となっていた世界の株式市場にダブルショックをもたらした。とりあえずその影響は一過性に止まったが、そのリスクの芽が完全に排除されたとは言えない。この株価の急落は中国の個人消費にボディーブローとして効き、中国経済の下押し材料として働くだろう。また不動産市場は下落が鮮明となっており、ゴーストタウンの出現も珍しくなくなった。このような中国経済の落ち込みは、欧米のみならず日本などの中国への輸出減少により世界経済に影響を与えることになるだろう。

 

日本経済が輸出そしてインバウンドなど中国景気に支えられてきたことを思えば、中国経済の成長率低下は日本に不況感を強めることは回避しがたい。また安倍内閣の支持率低下に見られるように過去2年半円安・株高をもたらした「アベノミクス」の賞味期限切れが迫っているとも言え、円高・株安の圧力がかかる可能性も無しとしない。円相場はこのところ125円台をピークに121―124円台で推移している。ここは高値でドルを売り、安値でドルを拾うスタンスで良いのではないだろうか。

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