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金融シャーマンのお告げ

2015.07.14 15:17

グリーンスパン米FRB議長(当時)以来、中央銀行総裁の発言は世界の耳目を集め、金融市場はその謎解きに苦しみ、また一喜一憂してきた。そこで2013年FTの記者が中央銀行総裁を「マネタリー・シャーマン」つまり現代の金融シャーマンと命名した。かつてシャーマンとは霊、神霊、精霊、死霊などの超自然的存在と交信する人物のことを指し、人々はそのお告げを読み解いて問題解決の糸口を見出してきた。実際ECBのドラギ総裁の12年夏の「何でもする」との「お告げ」はユーロ崩壊の危機を劇的に回避させたものとして永遠に記憶されるだろう。つまり金融シャーマンの「発言」=「お告げ」は魔術的であり神性を感じさせてくれるのだが、本来の意味を読み解くことやどこまで信じるかの判断が難しいのが頭の痛いところでもある。

 

このところのマネタリー・シャーマンのお告げを振り返ると、5月7日のイエレンFRB議長が「株は割高」と発言した。その真意は年内と予想される米利上げに備えてポジション調整を促したのではないかと見られる。さらに6月5日にドラギECB総裁が「長期金利の乱高下に慣れた方が良い」との発言も傾聴に値するだろう。つまり両者の発言から読み取れるのは低金利・株高が極限に近付いており、今後中銀の金融政策によるコントロールを超えたところで市場が荒れることを示唆したものであると考えられる。そして真打が6月10日の衆院財務金融委員会における黒田日銀総裁による円安けん制発言だ。内容は実質実効為替レートが「ここからさらに円安に振れて行くことはありそうにない」との見通しで、この発言を受けドル/円は124円半ばから瞬時に2円ほども急落し、甘利経済財政相が火消に回るなどあらためてシャーマンのお告げのインパクトをひしひしと感じさせてくれた。

 

市場では今後短期間で130円に到達するとの専門家?の予測が高まっていただけに黒田シャーマンのお告げのタイミングの良さには舌をまくしかない。とはいえそのお告げを読み解けば、通貨の貿易上の対外競争力を示す指標である実質実効為替レートが変動相場制に移行して42年間において最も安い水準にあることは明らかで、「ここからさらに実質実効為替レートが円安にふれていうことは、普通に考えるとなかなかありそうにない」との発言は元財務官である黒田シャーマンの本音、つまり総裁としての立場を超越した相場観であり至極もっともと言えよう。但しそれが真実であるとしても市場はいつも行き過ぎなど「だまし」がつきものであり、どのように「だまし」と付き合い、時間の経過に耐えるかが勝敗の分かれ目となるだろう。ともかくここは「信じる者は救われる」と考えれば、この際黒田シャーマンのお告げに従い、「125円は壁」を念頭に高値圏での売りを先行し、安値は軽めに拾う戦略をとるのが良いのではないだろうか。

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