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治にいて乱を忘れず

2015.06.24 17:44

「治にいて乱を忘れず」

フランス・ブルゴーニュ地方はワインの名産地で、有名レストランが多数点在する。かつて三ツ星レストラン「コート・ドール」は有名なオーナーシェフのベルナール・ロワゾー氏の自殺により閉店に追い込まれた。自殺の背景は、三つ星維持が困難になりそれを苦にしたと言われる。そもそも三つ星とは、1900年、仏タイヤメーカーのミシュラン社が旅人の参考に、レストラン・ホテルの一覧を無料で提供したことに始まる。それぞれの快適性や味を基本に、1-3個の星、更にはフォークや屋根の数で評価を示し、食事・宿泊の羅針盤とした。それがいつの間にか、星獲得がシェフ達の目標となり、覆面調査員に怯える姿が日常化し、ミシュランは格付けの大権威となった。星3つは宿泊してでも尋ねる価値があるとされ、店側はメニューの充実、ワインの豊富さ、味、サービス、快適空間の提供が求められることとなり経営が圧迫されている。そしてここ数年覆面さらには公式調査員が北米、アジアに進出しているが、その手法や結果の公平性・客観性などについて様々な疑義が生じているのだ。

 

しかし勝手に格付けされて困るのはレストランだけではない。同様のことが金融の世界でも日常化している。大手格付け3社は債券投資家の為に格付けを始めたが、いつの間にか権威となり、各国の命運を握るという主客逆転の不思議な現象が生じている。先月末、格付け会社フィッチは、日本の格付けをA+からAに1段階引き下げ全21段階のトップ(AAA)から6番目とした。その理由は日本政府が消費増税を先送りしたものの、穴埋め策を今年度予算で講じなかったこと。因みにムーディ―ズもS&Pともども政府債務残高の拡大を懸念して2000年頃から段階的に引き下げている。それではこのような格付けは信用できるのだろうか。リーマンショック時最終的に紙屑となった種々債券にトリプルAを与えていたことも記憶に新しい。一方南欧諸国の国債に対して投資不適格の烙印を押し、デフォルト危機に追い込んだことも印象的だ。各国金融当局がクレームをつけ反論し、またEUにおいては「新しく欧州の会社を作る」との意見も出た。やはり格付け会社を格付けする会社が必要なのかも知れない。

 

そして格下げニュースの為替市場への影響だが、かつては「日本売り」と騒がれたこともあったが、徐々に反応は鈍くなっており今回もまた119円から50線程円安へ振れただけと僅かに止まった。ニュースのインパクトが落ちたこともあるが、為替市場は昨年夏頃のひと月2円程度しか動かない低ボラティリテ―の時期に再突入したようだ。と言うことで当面は119円以下は買い、120円50銭以上は売りの高値売り安値買いによるディーリングに徹するのが良さそうだ。但し昨年ハロウインショックで眠りを覚まされたように「治にいて乱を忘れず」との格言を肝に銘じて置かねばならない。突然やってくる大相場への心の備えに怠りなければ憂いなしだ。

 

 

 

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