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嘘から出たまこと

2015.04.10 15:29

3月15日に閉幕した全人代において、就任以来3年目を迎えた習近平指導部は、経済目標を「高速成長」から「新常態」(ニューノーマル)つまり「持続的成長」への転換を明確にした。これまで中国経済は30年余りにわたり輸出・投資主導により年率10%程度の成長を続けてきたが、今や環境問題や労働コストの上昇などにより外資を導入しアクセルをふかせ続けることは難しくなり、今後は消費主導型へと転換を図る。しかし経済に減速感が強まる中での「新常態」への移行は、目標とする7%成長から一気に5%割れへと経済の底割れを招く可能性も秘める。

 

毎年世界十大リスクの上位にロシア、イランとならび中国がランクインするが、チャイナリスクには政治リスクと経済リスクの2通りある。政治リスクについては共産党一党独裁がスタートして60年余りが経過したが、国内には民族抗争や格差などの矛盾が拡大しており国家破綻のリスクは拭えない。一方このような政治リスクを回避する最善策として推進されてきた経済成長は、ここにきて底割れリスクすなわち経済リスクが出てきている。ただチャイナリスクはこれまで再三にわたりまことしやかに語られてきたが、これまで表面化することは無く、近頃ではチャイナリスクを語ることはオオカミ少年のように見られると言っても過言ではない。

 

これまで中国経済を牽引してきたものとして貿易、不動産そして金融が挙げられる。しかし貿易は減速傾向に入り、地価は全国津々浦々で下落し、さらに地価下落は逆資産効果により中間層の購買意欲を減退させている。また未発達の金融市場は2013年6月に流動性逼迫をもたらした「影の銀行」(シャドーバンキング)問題が依然横たわっていることを忘れるわけにはゆかない。実際地方そして金融機関に存在する不良債権の大きさを推し量れば、リスク発生時には中国国内のみならず国際金融市場へのインパクトの大きさは尋常でないだろう。

 

現在為替市場において人民元は1ドル6.23台とドル高元安推移しているが、チャイナリスクが顕現した場合、人民元暴落の可能性は大きい。人民元/円相場を見ると、2012年の12円から14年には20円に接近し現在19円40銭前後で推移している。今後、人民元売り/円買いを長期保有するのは面白そうだ。今さら人民元の暴落など持ち出せばオオカミ少年と言われそうだが、いつか「嘘から出たまこと」になるのではないだろうか。

 

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