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しっぽが犬を振り回す 

2015.03.12 09:30

メソポタミア5千年の金融史を紐解くまでもなく、貸し手が借り手よりも立場が強いことは金融取引の基本である。しかし時としてこの常識を逸脱することが起きるもので、近頃では欧州諸国と経済規模が2%に止まるギリシャとの関係が挙げられる。2012年のユーロ不安の際と同様、今回もまた借り手が貸し手よりも強い立場を貫いている。その様はまさにしっぽ(ギリシャ)が犬(欧州諸国および金融機関)を振り回していると言えよう。

 

1月25日のギリシャ総選挙においてバラマキを公約にした急進左派連合(SYRIZA)が勝利して以降、チプラス首相はギリシャ国民の期待を背に各国と交渉を行ってきた。当初より「敵はベルリンにあり」と狙いを定めており、ユーロ離脱の切り札をちらつかせながらの借金棒引き作戦だ。ギリシャは、2月末に期限を迎える支援プログラムを現行通りの緊縮条件で合意するか、あるいはこれまで課せられてきた財政緊縮を取り払った新たな支援の枠組みを手にすることができるかの瀬戸際にあったが、チプラス首相も国民に大見得を切っているだけに簡単には引き下がれない状況に追い込まれてきた。期限までに合意できなければギリシャは3月中に財政破綻を来すことを目前にしていたが、20日のユーロ財務省会合でとりあえず4か月延長することで合意し、時間を確保することができた。

 

ドイツとギリシャが犬猿の仲であることは、欧州各国民の意識調査にも明らかだ。つまりドイツは多くの国から勤勉で信用できると認識されているが、逆に不信または怠惰と見なされているのがギリシャだ。また、ギリシャ人はドイツをまるで信用しておらず、ギリシャ人とドイツ人の溝は深い。ギリシャ人の反独感情を根付かせたのはナチス占領の記憶であり、さらに3年前にメルケル首相に課された緊縮財政による年金カットや徴税強化などの痛みが背景にある。従って債務削減交渉は、ドイツが厳しい立場を堅持しており、ドイツ・ギリシャ間の怨念が深いだけに今後も両者がどこまで歩み寄ることができるのか予断を許さない。

 

年初来の金融市場は原油安に加え前述したギリシャ問題が重くのしかかりリスクオフムードが蔓延してきた。しかし原油価格(WTI)が43ドル台まで値下がりした後、50ドル台を回復していることを受けドル/円相場も116円から120円のレンジで底割れすることなく厚い雲の中を彷徨ってきた。来週以降ギリシャのデフォルトによる底抜けの可能性がひとまず回避されただけに雲の上抜けをトライする動きが高まるのではないか。どちらにしても4か月の時間を確保したものの、引き続きしっぽが犬を振り回す状況は続きそうだ。

 

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