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陰極まれば陽に転ず

2015.02.20 14:32

2012年11月の衆院解散以来、株価は2倍に上昇し円相場は50%も下落した。今年もその流れが継続するのか否かは、昨夏より50%も下落した原油相場に大きく左右される事となるだろう。従来原油価格は、2008年のリーマンショック前後において147ドルから32ドルまで下落し、その後1年余りで100ドル水準へ反発したようにボラタイルである。原油価格が現行水準で低位安定すれば2015年は2014年に比し数兆円程度の為替需給の緩みが発生すると試算され、ボディーブローのように円高要因として効いてくるだろう。逆に原油高となれば需給は引き締まることとなる。従って2015年の円相場はこれまで以上に原油相場に連動することからその行方を注視せねばならない。

原油相場も株式、為替などと同様市場参加者の欲望、恐怖、熱気、狂気と言った心理を反映するものであり、「相場の心」を読むことが肝要である。その「相場の心」を読むことに長けていた人といえば筆者が師と仰ぐ本間宗久翁である。翁は鳥海山の麓にある山形県・酒田を代表する米商人であり、18世紀初頭の米相場において連戦連勝し、築いた資産は現在の価値で言えば1兆円と推定される。その金額はともかく、翁の罫線分析、心理分析、さらに人生訓についての数々の教えは現代においても有効である。しかし常勝の翁でも相場入門の頃は負け続けた。ただ天才と常人を分けるのは努力と運だ。その後翁は大阪・堂島で勝ち癖をつけ、江戸で大輪の花を咲かせた。

翁が編み出した相場戦略法に、ローソク足チャートに基づく「酒田五法」がある。1970年代にアポロ計画が中止されたため、ロケット・サイエンティストがウォール街に流れ込んだが、その結果金融界は数学と物理学を応用した金融工学と共にテクニカル分析も進み、「キャンドルスティク」と英訳された「酒田五法」の正しさが証明された。翁の偉大さはその科学的分析力と「相場の心」を読むことに秀でていたことであり、まさに市場で勝ち残る者の必要十分条件を兼ね備えていたと言うべきだろう。

翁は「相場三昧伝」に以下3つの心得を言い残している。機に待つに即ち「仁」(チャンスが来るまでじっと待つ)。機に乗じるに即ち「勇」。(チャンスが来たら果敢に攻める)。機に転ずるに即ち「智」。(柔軟に対応し、すぐに考えを切り替える)、と。つまり群集心理が支配する「相場の心」を冷静に読み、戦略を練ることの必要性を説く。現在の原油相場は大きく下落しており20ドル台が秒読みと囁かれるなどまるで底なしのような恐怖感が横溢している。これを受け金融各市場のセンチメントはリスクオフに傾いている。「陰極まれば陽に転ず」との名言は翁が残した相場の極意だが、原油を筆頭にそれぞれの市場の行き過ぎは否めず逆張りのチャンスではないか。今年も早々と「相場の心」を読む能力が試される局面に立った。

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