グレートローテ―ション
ニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均が
17年振りの10日連騰を記録した。
週末は小幅反落したが、4週連続で上昇を記録し、
史上最高値を更新中。
17年前、即ち96年と比較すると、
①議会と政権が予算を巡り激しく対立していた、
②経済は回復軌道にあり、FRBも金融緩和をすすめていた、
というこの2点において同様である。
当時グリーンスパンFRB議長は、「根拠なき熱狂」との警句を発したが、
その後、インターネットなどの技術革新により、3年に渡り続伸した。
今回、米国の株高については、FRBによる3度に亘るQE政策の
緩和マネーによるもので、根拠が乏しいとの懐疑的な見方が強い。
しかし、年初の「財政の崖」問題を乗り越え、国債から株式への
「Great Rotation(大転換)の到来」との声も上がりつつある。
その背景には、「シェール革命」があり、安価なエネルギーが米産業の競争力を
高めることと中東依存の地政学リスクの減少への期待感がある。
2013年後半にかけ、FRBの出口戦略への議論が高まると予想される。
このような状況で、エネルギーの安価そして安定的な供給により、
インフレなき成長がもたらされるならば、低金利(高値)にある国債から
株式市場へのグレート・ローテーションの本格化と株価の更なる上昇の可能性が高まる。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二 NO.103
NY株史上最高値更新
米国のダウ工業株30種平均は5日、終値ベースで07年10月9日につけた
史上最高値を5年振りに更新した。
リーマンショック後、2009年3月の6500ドル水準の底値から始まった
粘り強い上昇で、金融危機に伴う損失分を完全に解消した。
米国の株価上昇については、シェールガス革命による生産コスト削減期待、
そして海外からの企業回帰、つまりオンショアリングの動きも後押しして
大手企業の復活の兆しがその理由として挙げられている。
しかし何と言っても3度に亘る量的金融緩和策による
緩和マネーの恩恵が大きい。
現実には、雇用情勢の改善の道のりは遠く、また財政削減問題など
解決のめどは立っておらず、熱狂なき上昇というところだろうか。
因みに、世界の株価動向を見れば、ドイツでは依然リーマンショック前を
若干ながら下回り、日本ではその水準から20%も乖離している。
今後、米国の株価上昇が実体経済を反映したものとなるか否か、
また各国への波及効果があるのかどうか注目される。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二 NO.102