アップルVSサムスン
米国の10-12月期の企業業績の発表が続いている。
アップル社は売上げ4.9兆円、営業利益1.3兆円を記録したが
予想を若干下回ったことから、24日、株価は12%も下落した。
一時は700ドルを超えていた同社の株価は、今は450ドル水準となった。
iPHONEやiPADへの熱気が醒めつつあり、低廉な価格を求める
動きも広まりつつある。
一方、サムスン社の快進撃が止まらない。
12年のサムスン電子の売上高は、対前年比で20%増の16兆円、
営業利益は約85%増の約2兆円となった。
IT関連企業の中では、サムスンは営業利益ではアップルに次ぐ世界2位だが、
すでに売上高では10年にアップルを追い越した。
20年には売上高35兆円を達成して、世界のトップの地位を目指している。
スティーブ・ジョブズ亡き後、世界のIT需要者を驚かせるような
新製品が出ていないアップル。その栄枯盛衰は激しい。
顧客のニーズの変化が際立つ業界だけに、サムスンが例え業界首位と
なっても何年間首位を走り続ける事ができるか不明。
多くの訴訟と共に、この2社の競争の行き着く先が注目される。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二 NO.99
米国株高
先週末(18日)のニューヨーク株式相場は、ダウ工業株30種平均は1万3649ドルと続伸し、
2007年12月以来、約5年1カ月ぶりの高値で終了した。
懸念材料の連邦債務上限について共和党が一時的な引き上げを認めデフォルトの
惧れが後退した事が背景にあるが、予算削減交渉は2月に向けて本格化する。
また、米企業決算では、ゼネラル・エレクトリック(GE)や
モルガン・スタンレーの業績が予想を上回った事も好材料とされた。
米銀の10-12月決算は出そろったが、BOAを除く大手5社については
どれもユーロ危機の脱出を反映して、大幅に増益.
ゴールドマンサックスは前年比3倍の純益となった。
当面金融緩和の継続が続く限り、株価は高値を維持すると見られるが
何時まで継続するかが注目される。
ネクスト経済研究所
斉藤洋二 NO.98
アベノミクス
日本におけるデフレは既に15年を越え、昏睡状態と言われてきた
日本経済も昨年11月半ば以降、覚醒しつつあるようだ。
既に株価は20%上昇し、また為替市場では円は15%近く下落した。
これらは財政、金融、成長戦略を三本の矢とする「アベノミクス」を
市場が評価したことによる。
ただ、これはあくまで「期待」を反映したものであり、政策実現の結果は
後日問われる事となる。「噂で買い、事実で売る」というのが市場である。
一方、 日本株投資でさんざん苦杯をなめてきた海外も今回ばかりは違うと
評価する向きがある。ノーベル経済学賞受賞者の米プリンストン大のクルーグマン教授も、
「安倍首相が深く考えてやっているわけではないだろうが、結果的に完全に正しい」と“評価”した。
ただ、クルーグマン教授は、金融市場はひとまず好感しているものの、
財政持続可能性などに深い洞察を欠いたままの政策運営には、懸念を示す。
またFT紙は「昔と違い日本が世界に売るものは乏しく、円安は特効薬ではない」とも指摘している。
甘利再生相は為替については既に90円の現行水準で十分と、
早々と円安による輸入インフレを恐れる発言を行った。
せっかく20年振りに日本復活の芽が出かかっているのに
余計な発言だと思う。
日本経済の病巣は潜在成長率の低下と人口減少にありその根治は難しい。
安易な処方箋は何ら解決策をもたらす事はない。
暫くは円安そして成長戦略により成長戦略を推進させる事が肝要である。
ネクスト経済研究所
斉藤洋二 NO.97
2013年の相場は?
本年もよろしくお願いします。
さて2012年は円高デフレの重苦しい展開が続いたが、11月15日以降の「インフレ目標2-3%」
「日銀法改正」「建設国債の日銀引き受け」などの安倍発言に円安・株高へと大きく展開して越年した。
その結果1年間で円は76円から86円へ、ユーロは99円から114円へと10%を超える下落。
また日本株も8500円から10400円へと20%超の上昇を示し。新年早々も88円、10700円を越えた。
2013年も当面この安倍相場が続くのだろう。
ただし今後は安倍発言の政策面での実現性が問われる事となる。
特に2014年に予定される消費税増税については、参議院選挙を控えた、
本年4-6月の経済状況を判断材料にするとしている。
政府・自民党も財政政策・金融政策・為替政策を総動員
する事は必至となるだろう。
一方米国では、年末から年始にかけて、「財政の崖」、
特に「増税」問題が決着し、その危機が回避された。
ただ金融政策については、12月のFOMCにおいて、
複数のメンバーが量的緩和政策継続に対する副作用に強い懸念を示した。
出口政策、即ち金融緩和の修正への転換に関心が移りつつあり、
金融緩和政策を強化しようとする日本との政策の乖離が強まる可能性が高い。
従って、膠着状態が続いた昨年と異なり、今年は米国と日本の財政問題と金融政策の
変化が予見される事から、市場は荒っぽい展開となるのではないだろうか。
但し、15年に亘るデフレ円高脱却に変化の兆しが見える現状、
荒っぽさの中にも円安・株高トレンドが確認される一年になるのではないだろうか。
ネクスト経済研究所
斉藤洋二
NO.96