住宅ローン金利
大手都銀が8月から住宅ローン金利を一斉に引き下げる。
10年で1.35%と過去最低となる見込み。
2014年の消費増税を控え、駆け込み需要が見込まれる。
住宅ローン残高は現在157兆円で銀行にとり成長分野である。
現在の銀行の貸出残高は、395兆円と1996年のピーク時の
536兆円と比較すると140兆円も減少。
これはバブル崩壊以降の融資圧縮の影響によるもので、
預貸率もはバブル期の120%は別としても現在は70%台と低迷。
余剰資金は国債運用に回り、銀行は価格下落を恐れる。
リーマンショック以降、欧米の銀行も日本化現象が進み、
預貸率は70%程度に激減。新興国を除く世界の成長率が
急激に落ち込む背景となっている。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二
NO.74
ヤフー女性CEO
ヤフーに女性CEOが誕生した。
同社ではここ数年、業績不振や学歴詐称問題などにより
毎年の如くCEOが変わったきた。
今回登板するのはマリック・メイヤー女史。37歳。
グーグル社の創業当初からの社員(20人目)であり、同社初の女性エンジニアである。
この新しいCEOの誕生はいくつかの驚きを持って見られている。
1.若くて美人であること。
2.年俸が5年で50億円を超える高給であること。
3.10月には出産予定であること。
4.産休は殆ど採らないこと。
不振が続くヤフーに経営立て直しに向けそれほどの時間があるとは言えない。
出産・育児を抱えつつどのように手腕を発揮するか注目されるところである。
女性の進出については「ガラスの天井」があるとされた。
しかし米国では女性のCEOの登場は不思議ではなくなりつつある。
一方「ガラスの崖」があるとも言われる。
つまり、女性CEOが誕生するのは、順調な会社ではなく
崖っぷちにある企業の場合が多いという。
メイヤー新CEOが如何に同社を崖っぷちから
土俵中央に押し戻すか手腕発揮を期待したい。
ネクスト経済研究所
斉藤洋二
NO.73
プジョー工場閉鎖
ルノーと並ぶ仏の自動車大手プジョー・シトロエン・グループ(PSA)
がパリ郊外の工場を閉鎖し8000人の人員削減を実施する旨発表した。
同社は仏国内そしてイタリア、スペインなど南欧諸国の
市場での販売シエアーが高い。
この地域が欧州債務危機の真っただ中にあることから
販売の落ち込みが他社比際立った。
中国など新興国こそ伸びているが、欧州での落ち込みをカバーできず
工場稼働率は76%程度と低迷している。
今後の同社の経営立て直しについては、09年に新車買い替え補助金制度を導入しており
需要先食いの反動が当面続くことも予想されV字型の回復は読めない。
雇用重視を訴えて登場したオランド大統領率いる社会党政権は
労働者支援を考えているが、会社側は反発し奏功するかは疑問。
今後、これを機にリストラの嵐が欧州に吹き荒れ、
既に10%を越える失業率を更に悪化させる可能性が高まる。
ネクスト経済研究所
斉藤洋二
NO.72
LIBOR
ロンドンにおける銀行間の資金取引の金利であるLIBOR
(London Interbank Offered Rate)を巡る疑惑に関し、英国の捜査当局が動き出した。
このLIBORが多くの金融取引の基準金利として利用される。
例えば住宅ローンなどの金利はこれを基準に一定スプレッドを上乗せして決定される。
その金融取引金額は、360兆ドル(2京9000兆円)にも上ると言われる。
事件の発端はバークレーズ銀行(B銀)へイングランド銀行副総裁からLIBORを低目誘導
するよう示唆があったというもので、既にB銀の首脳は責任を取り辞任した。
ただ、このLIBORは、B銀一行で決定するものではない。
16行が英国銀行協会へ呈示し上下4行づつは除外され、中間の8行の平均値が
採用される。つまりB銀一行で操作する事は不可能であり複数行の関与は必至である。
まだ事件の疑惑解明は緒についたばかりで、
大手他行にどの様に波及するか注目されるところである。
米国ではボルカールールの導入などで銀行のトレーディング規制が議論される中で
JPモルガンが巨額損失を出し米国民の批判が高まっている。
今回は欧州の大手複数行の不正スキャンダルに発展する可能性が高い。
大手金融機関の存在そのものへの非難が高まる可能性を孕む事件である。
ネクスト経済研究所
斉藤洋二
NO.71
インサイダー
証券取引監視委員会は、日本板硝子の公募増資を巡るインサイダー取引に
関し、米大手ヘッジファンドに課徴金を課すことを金融庁に勧告した。
この取引に大和証券グループの関与が判明したが、これで野村證券、
SMBC日興証券を含め国内3大証券会社全てが関わっていたことが判明した。
このようなインサイダー取引は、市場の公正さをゆがめる
証券業界の重大な問題と認識されるが、かかる問題の続発は
業界の体質改善への道のりの遠さを感じさせる。
今回の事件も他の増資インサイダー案件と同様、大和証券の内部で、
企業の増資を扱う投資銀行部門と、新株を投資家に売りさばく営業部門の間で
インサイダー情報を遮断する業務隔壁が機能しておらず、情報を優良顧客に流していた。
役員も含め幹部が絡むこの種事件については、「収益至上主義」の企業のみならず業界の
体質を反映した組織ぐるみ的行動である事を示唆し、この業界への不信感を増幅させる。
過去20年、優良顧客に優先的に損失補填を行ってきた証券業界の歴史を
見るにつけても、日本において健全な証券業の発展が行われるのか疑問を感じる。