長期金利低下
欧州不安が嵩じ、株式市場から国債マーケットに
逃避資金が流れ込み、日米独の長期金利は下落している。
日本の10年債は、0.81%と8年11ヵ月振りの水準。
米国10年債は、1.67%と9ヵ月振り、更に独は1.26%と史上最低の水準。
この背景は、ギリシャに端を発した債務危機がスペインの金融機関に伝播。
大手銀バンキアの救済問題に疑心暗鬼が高まっている事。
現在の世界経済を不安に陥れる震源地である欧州について、
注目点は次の2つ。
①ギリシャ問題がスペインに波及するか。
それとも防火壁が築かれるか。
②財政危機が金融危機に拡大するか否か。
ドイツ、ECB、IMFの対応が注目される。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二
NO.66
為替相場見通し
ギリシャのユーロ離脱を巡る不安が
世界の各市場を震撼させている。
6月17日のギリシャでの再選挙で、どのような
結果が出るか、今、誰にも分からない。
ギリシャの向かう方向については
次の3通りのシナリオが考えられる。
①国民は緊縮の痛みを受け入れる。
②ユーロ離脱を選ぶ。
③緊縮せず、ユーロ離脱もしなくてよりとの
EUからの譲歩を勝ち取る。
ギリシャの政治家は第3の選択肢を求め、
EUとの交渉を勧めようとしている。
とても実現可能とは思えないのだが・・・・
先週、日本の国債市場に海外、そして株式市場から逃避資金が入り
ユーロ安(円高)が進んで100円を割り込み、株式市場は8500円へと下落。
今週のマーケットは引き続き、ギリシャの動向を見守りながら
神経質に動くのだろうが、少し一服する可能性が高い。
為替市場においては、ユーロ・円は100円、ドル・円は80円
での膠着が予想される。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二
NO.65
世界で利用者が8億人を越える交流サイト(SNS)
最大手のfacebook(FB)が18日ナスダック市場に上場された。
株価は公開価格38ドル。初値42.05ドルをピークに下げ続け
上場3日目(22日)には31ドルとなった。(23日は32ドルに上昇。)
上場前より中国、インドを含め世界中で異常に人気が盛り上がり
初値がピークになるのでは、との見方もあった。
投資家の不満が広まる中で、インサイダー疑惑が持ち上がった。
主幹事証券会社が把握していた業績下方修正見通しを、
一部顧客にのみ知らせていたというもの。
このインサイダーの可能性について、投資家はfacebook社および、
モルガンスタンレー社を提訴。
米証券取引委員会(SEC)は調査に乗り出す。
この上場にまつわる話もさることながら、
今後はFBの業容について、市場の関心は向かう。
その収入の大半は広告収入。
以下の通りその行方が関心を呼ぶ。
①今後、広告は伸び収入が増えるのか?
②広告収入が有料化され、売上に貢献するのか?
③価値ある個人情報が切り売りされる可能性はあるのか?
これらのテーマについて、ザッカーバーグCEOの
手腕が注目される。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二
NO.64
損保決算
損保大手3社が12年3月期決算の発表を行った。
保険引き受け収益は2社が赤字となり、
3社合計で2600億円の赤字となった
タイの洪水の保険金支払いが、5000億円に
達したのがその原因。
自然災害による影響となればやむを得ないとも思われる。
ただ、損害保険料収入の50%を占める自動車保険について、
赤字体質の定着が顕著となっている。
今後、保険料体系の見直しの効果が出てこないと
経営に及ぼす影響は大きい。
人口減少更には若者の自動車離れなど
国内市場の縮小傾向が強まっている。
今後は海外業務がどのように展開されるかが
生き残りのポイントとなるのは必至。
益々体力勝負となるだろう。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二
NO.63
大手銀決算
メガバンク3行と三井住友トラスト、りそな
計5行の決算が発表された。
連結最終利益は2兆4千億円と、リーマンショックを挟んで、
5年振りの好決算となった。
ただ収益の3割が国債の評価益・売買益によるもの。
その金利水準は既に0.8%。今後も同様の利益が計上されるか疑問が残る。
欧米主要銀との比較について。
収益面では、三菱UFJが1兆円弱とJP,HSBC等に続いて4位に
入るなどと健闘、
一方、時価評価額については、収益面に比し大きく劣後し
中国勢よりも下にランクされる。
今後、海外融資に如何に活路を見出すか、また金利上昇局面において、
保有国債から発生する損失に如何に対応するか。
今年は、良い決算を出来たが、来年以降の課題は山積と言えよう。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二
NO,61
家電量販店
ビックカメラがコジマの買収を発表した。
140億円で第三者割り当て増資を引き受ける。
この結果、合計売上高は1兆円弱となり
ヤマダ電機に次ぎ業界第2位となる。
この買収成果は、主に次の2つが挙げられている。
①ビックカメラは渋谷など駅前にあり、一方コジマは
郊外型であることから、相互補完的な規模拡大をする。
②共同仕入を実現し、粗利益の改善を図り、3年以内に
経常利益は約2倍になる。
10年程前、コジマはヤマダ電機と競り合いつつも、業界トップ
の地位を占めていたが、次代の流れは厳しく優勝劣敗を見る。
また、量販店マーケットは、エコポイントも終了し
テレビの落ち込みが激しい事から、市場は縮小している。
パナ、ソニー、シャープなど家電各社の厳しい経営環境同様
川下の各量販店は更なるリストラ・再編は必至である。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二
NO.61
観光立国
GWは東北地方への旅行客が戻り
日本の観光業は2年振りの活況を呈した。
しかし、昨年、福島原発の事故を受けて激減した
訪日外国人旅行者は、未だ十分には戻って来ていない。
08年日本では、観光立国を目指すべく観光庁が設置された。
政府は、訪日外国人旅行者の、受け入れ拡大を図り
20年には2500万人と目標を設定した。
10年は861万人と世界30位であり、目標数値との乖離は大きい。
世界を見ると、フランス7700万人、米国6000万人、
中国5600万人と我が国に比し一桁多い。
因みに、日本人の海外への旅行者数は1800万人で世界第12位。
日本は外国人旅行客にとり魅力があるのか?
ある調査による魅力国ランキングでは25位。
衛生、安全、文化遺産などは高評価されているが、
価格や日本人の旅行客への態度、などにおいて評価が低い。
政府が音頭を取っているものの、観光立国への道は遠いようである。
観光により日本のGDPが増加する、とのシナリオは描けても
原発事故の復旧目途が立たぬ現状、その実現は難しい。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二
NO.60
米国雇用情勢
先週末、4月米国雇用統計が発表された。
非農業部門雇用者数は11万人増と低調。
失業率も8.1%と依然8%を超えている。
雇用情勢は、昨年12月から2月までの3ヵ月、暖冬の影響もあり
20万人/月を越える好調な数字を示していた。
3月の16万人に引き続き悪化傾向が目立ってきた。
米国大統領選を11月に控え、雇用環境の改善は
オバマ陣営にとり喫緊の課題。
失業率8%台の大統領で再選された例は、今までにない。
週末の市場は、雇用統計発表を受け、景気先行き懸念が強まった。
結果、株式は大幅下落、そして原油も100ドル割れとなった。
米ドルは下落し、円は79円台へと上昇し、ユーロも104円台を付けた。
週末には、ギリシャの総選挙、フランスの大統領選も
行われた。
結果について、オランドの勝利など、市場は相当程度織り込んでいる。
しかし、これまでの財政緊縮への反発が強まる恐れも高まり
欧州が再度市場に目に晒される事となる。
今週はユーロの財政危機、米国の景気不安が共に頭をもたげ、
市場は乱高下する可能性が高まった。
ネクスト経済研究所
斉藤 洋二
NO.59