ネクスト経済研究所|国内外の経済・政治・社会の方向性を洞察

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日本のリベラルとは何か

2017.10.25 17:46

総選挙終盤戦の世論調査結果を大手メディアが報じているが、態度未決定者が2割に上るだけにこの時点での予測の確実性には疑問符がつく。とはいえ各社とも獲得議席数を自民260、希望60、立憲民主(立民)50、公明30、共産20、維新10と予想しているだけに、どうやら自民堅調、希望失速、立民善戦と言うことで決着しそうだ。つまりブレクジットのような大番狂わせの可能性は乏しい見込みだ。

 

結局公示前に注目された小池新党への抱き付きと言う前原の捨て身作戦は失敗に終わりそうで、「言うだけ番長」の汚名返上には至らなかった。一方立民の善戦は、枝野人気と朝日新聞社の支援が大きく作用したものとはいえ、日本の「リベラル派」を自称する人たちが反安倍で結集した結果でもあるだろう。とはいえ 結局「リベラルとは何か」また「立民がリベラルなのか」について考えさせられるところともなった。自社による保守・革新の対決が続いた55年体制下においてリベラルとは自民党内における自国憲法制定・ 戦前の体制への回帰を標榜する勢力に対し戦後体制容認、対米協調、市場経済を重視する宏池会などを総称するものだった。ところが東西冷戦の終焉とともに行き場を失った左派勢力がいつの間にかリベラルを名乗ることになり、今や一時代前なら極左と言われたメンバーで構成された立民がリベラルの代名詞 を獲得したということである。

 

それでは海外事情はどうかと言えば、欧州におけるリベラルとは保守と左派の中間に位置する中道であり、それらを代表してきたと考えられるのがブレア、シュレーダー、マクロンと言ったところで、思想的には社会民主主義そして市場経済を重視する傾向が強いことが特徴と言えよう。一方米国に目を転じれば、小さな政府やキリスト教を重視する共和党など保守派に対し、大きな政府、人権保護のための政治介入そして環境保護などを主張するのがリベラルでありその政治的主体として民主党が位置づけられる。このように欧米のリベラルと比べると日本のリベラルはかなり左寄りと言ってもよいだろう。

 

どちらにしても自公が300議席に迫る可能性が高い現状、安倍一強政権は今後も続くことになるだろう。そしてこれまで同様の財政・金融政策が維持されることになるとともに、政府・日銀の二人三脚は次期日銀総裁が誰になるとしても継続されることになるだろう。総選挙の影響はすでに市場に織り込まれていることから与党勝利を受けた株高・円安の動きは一過性に止まるところとなるだろう。したがって今後の円相場は欧米と日本の金融スタンスの違いを映じた円売りと北朝鮮動向の不透明感の故の円買いの綱引きを続けながら新たな展開を待つことになるのではないか。当面110円から114円レンジでのもみ合いと考えている。

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秋相場の波乱に要注意

2017.08.23 20:16

今年も多くの市場関係者が夏休みからオフィスに戻る時期になった。それと重なるように8月24日~26日にワイオミング州ジャクソンホールで経済シンポジウムが開かれる。予定されるイエレンFRB議長やドラギECB総裁の講演は秋相場を占う上でいやが上にも注目されるところだ。米国の実態経済はこれまで10年間米国株価を下支えしてきたが、景気循環サイクルの終盤に入っている一方で、通常15倍~20倍が適正と見られる株価収益率(PER)も、アップルが150倍、S&P500が25倍に達するなどバブルの水域に入っているとの見方も強まりつつある。したがってこれまで続いた過熱感も不況感もない「適温経済」そして「適温相場」の終わりの訪れにはくれぐれも注意しなければならない。

 

FRBは2015年末から4度にわたり政策金利を引き上げているが、今後について大方の予想するところは、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる9月に資産縮小が開始され、さらに12月には追加利上げが見込まれている。しかしFRBは物価や景気動向に確信を持つには至っていないようで、さらに追加的な経済指標を見極める方針ではないかと思われる。それだけに今後のFRBの金融政策の行方は大きく相場を左右しそうだ。

 

そもそも「適温相場」の語源である英国の童話「ゴルディロックス」では、主人公の少女がクマの留守の間に、ほどほどの熱さのスープを飲み、ほどほどの大きさの椅子そしてほどほどの硬さのベッドを楽しんだものの最後にクマが帰宅して逃げ出して終わる。この物語から学ぶべきことがあるとすれば、「適温相場」の大波乱のエンディングであり、そろそろクマの出現つまりベア相場への転換に要注意と言うことだろか。これまでも8月後半から始まる秋相場は往々にして波乱に見舞われてきた。実際過去30年を振り返ってもブラックマンデーによる大幅株安(1987年10月)、テキーラショック(1994年11月)、世界同時テロとドル安(2001年9月)、そしてリーマンショック(2008年10月)などその例は枚挙に止まらない。

 

秋相場の波乱材料としては、①FRBの金融政策の行方、②米朝間で威嚇と挑発が繰り返される北朝鮮問題、③トランプ政権内の足並みの乱れなどが挙げられる。どれがトリガーとなるにしても、株価および為替相場の大幅調整には十分注意を払うべきだろう。目下のドル円相場は110円を挟んだ動きとなっているが、徐々に上値が重くなっているように見られる。一方下値に関しては、4月につけた108円台LOW以外に目立った抵抗線もないことから、今後は108円割れさらに105円を目指す動きが強まる可能性が高い。

 

 

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北戴河会議

2017.07.26 22:28

7月後半になり世界はどこもかしこもバカンスだ。各国では首脳も議会もそして市場も休暇に入りつつあるが、中国でも河北省の海岸リゾート北戴河(ほくたいが)に共産党のトップそして長老たちが集まる。特に今年は10月に5年に1度の共産党大会が予定されており、その人事が話合われる北戴河会議が注目される。特に共青団を率いた胡錦濤や江沢民一派などが依然権力を有しており、今後の利権および共産党支配を巡り権力争いが激しさを増す。

 

もともと中国は共産党一党独裁の国であり、その党の指導の下で社会主義市場経済と言う理解を超える経済システムを組み込んで急成長を遂げた国だ。かつて鄧小平が「白い猫も黒い猫も鼠をとるのが良い猫だ」と言ったように、結果が伴えばそのプロセスは問わない。とくに14億人の人民を9千万人の共産党員が支配する体制が敷かれており、民主化が許されるはずもなく、共産党による強権政治が発動されている。したがって共産党員の間では権力争いは一段と激しくなり、腐敗と弾圧が横行するのも当然と言えよう。

 

そこで目下注目されるのが就任6年目を迎える習近平の後継争い。今回の共産党大会で5年後のポスト習が誰になるかが見えて来るだけにその行方が注目されるところだ。これまでの順調な昇進ぶりとその年齢から、胡春華と孫政才の争いと見られてきたが、孫政才が突如重慶市トップを解任された。ポスト習の芽はなくなったのは明らかで、今後どのような厳罰が待っているのか。そしてその後任には陳敏爾という習近平の最側近が就くことになりポスト習争いは一気に混沌化したと言っても良いだろう。とはいえ習近平は「ポスト習は習」と考えているようであり、紅い皇帝としてあと5年の任期はもちろんその後も院政を敷く腹積もりがあるようでもある。

 

そしてもう一人注目されるのが王岐山。党中央紀律検査委員会委員長として、反腐敗闘争で辣腕をふるってきた。68歳で定年を迎える予定だが、内規を変更して定年延長し習体制強化に向けもうひと働きするとのシナリオが囁かれる。歴史は夜、いやバカンスにこそ作られるもとすれば、やはり夏の北戴河会議から目を離すことはできない。北朝鮮問題で何ら進展がない以上米中関係が軋み出すのも当然で、トランプ大統領の中国への不満が高まっている。バカンス明けは米中貿易戦争の勃発の恐れもなきにしもあらず。中国を為替操作国へと名指しする大統領令はトランプ大統領のポケットの中にあるとも言われる。米中が対決色を強める可能性の高い秋の陣を前に夏のバカンスは体力温存に努めるのが良さそうだ

 

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金融政策も為替もアートだ

2017.06.29 21:19

かつて日銀の三重野総裁は「金融政策はアートだ」を口癖とし、金融政策が理論に加え職人芸の世界であることを強調していた。つまり金融政策はセントラルバンカーのプロフェッショナルの世界であると主張していたのであり、その点為替の世界と同様と言うことだろう。しかし目下の日銀では元財務官の黒田総裁が量的緩和という社会実験を強引に推し進めている。マイナス金利を進めて預金者および企業を苦しめ財政再建を優先するスタンスは財務省出身の人ならではとも映り、アートとは程遠い世界のように見受けられる。

 

現在の日本経済は息の長い景気回復が続いていると言われるが、コアインフレ率は相変わらずゼロ%近辺でデフレ脱却の兆しは見えない。一方賃金上昇が確認されない中で2%の物価目標にこだわり、年間80兆円のペースでの長期国債の買い入れを継続することの影響が懸念される。さらにREITやETFなどの購入により日銀の資産がGDPとほぼ同様の500兆円水準へと膨張し、日銀の財務内容が悪化しているのは明らかだ。このような環境下において先週末に日銀は金融政策決定会合を開いたが、現状の政策金利マイナス0.1%、長期金利0%の量的緩和政策に変更はなかった。とはいえその円安効果が年々薄れていることは明白で、4年にわたった「円安相場の終わり」が始まっているように感じるのは筆者ばかりではないだろう。

 

目を海外に転じれば、FRBはすでに金融正常化を進めており、さらにECBもその開始のタイミングを図っている。しかし日銀内部では出口戦略のシミュレーションを始めたようではあるが(実際出口戦略を行うと数兆円単位の赤字が顕現化すると見込まれている)、黒田総裁は出口戦略には全く積極姿勢を見せない。とはいえ変動相場制下における金融政策は、他国からの影響を排除して独立的に運営することが難しいのも事実であり、そろそろ「クロダノミクス」の看板をおろして金融政策の正常化を図る時期に来たのではないか。

 

米国ではトランプ政権におけるインフラ投資への期待がしぼみつつあり、短期金利が引き上げられても長期金利は2.1%台と上昇しない。つまり日米の金利差が縮小する可能性もなきにしもあらずで、中長期的には円高が招来される素地が整いつつあるとも言える。当面110円の攻防が続くにしてもその後は105円を超えて円が上昇するのではないか。これが「為替はアートだ」と考える筆者の目下の相場観だ。

 

 

 

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ペネロープ・ゲートとアッキード事件

2017.04.13 16:10

フランス大統領選が4月23日に迫ってきた。主要メディアの見通しでは、ルペンFN党首(極右)がリード、マクロン前経済相(中道)が2位につけ、そしてフィヨン元首相(中道右派)がやや離れて3位。特にフィヨン氏はペネロープ夫人および子供二人が秘書給与を不正受給していたというスキャンダル(ペネロープ・ゲート)に巻き込まれて人気と信用が急落しており決選投票への進出の可能性は乏しくなった。一方マクロン氏については社会党からも支持表明が続くなど、5月7日の決選投票に進む見込みだ。ということで、決選投票はマクロンVSルペンの対決構図となる可能性が高いが、結局60対40の差を維持してマクロン氏が勝ち、フレクジット(フランスのEU離脱)も起こらずEUは安泰と言うシナリオが現実化しそうだ。

 

とはいえ昨年から投票予測の不確実性には再三苦汁を飲まされてきたこともあり、今回もルペン大統領誕生というリスクを完全に無視することはできない。現状市場経済を支持するマクロン大統領の誕生予想に安心感が市場に広がっているが、選挙が近づくにつれ再び市場は緊張を高めることになるだろう。その緊張感は為替市場にショックを与え、ユーロ売り円買いなどを誘発するかも知れない。一方選挙が終了しエマヌエル・マクロン大統領誕生となれば、年齢が39歳と若く、また睡眠時間がナポレオンと同じく3時間と言う新星登場にフランスのみならず欧州安定への期待が膨らむことになるだろう。

 

目下フランスでペネロープ・ゲートが注目されているが、日本でもアッキード事件が世の中を賑わせている。安倍昭恵首相夫人が森友学園の名誉園長の職にありその教育を称賛していたことからアッキード事件に火がついた。この問題の行き着く先は主要閣僚の疑獄へと飛び火する可能性も秘めており、日本の政治も不安程度を高める可能性には留意しておく必要があるだろう。また日本の政治不安定化は円売りとは一概に決めつけられないことにも要注意だ。

 

このように日仏において政治家夫人を中心にスキャンダルが続いているが総じて大きな材料に乏しく、この2か月余りのドル円は111円―116円の範囲で日米金利差を見ながら一進一退を続けてきた。とはいえ早晩レンジワークの終焉を迎えどちらかに突き抜けることになるが、その切っ掛けとなる材料として、原油価格動向および欧州の政治の行方を挙げておきたい。需給の余剰が明らかとなりつつある原油の価格が下落すればドル安円高へ、そして選挙を控えて欧州に緊張が高まればユーロ売り円高が強まるのではないだろうか。とりあえず円の上値目標は109円で、「治にいて乱を忘れぬ」ことは肝要だ。

 

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円相場のフェアーウエーは

2017.02.18 20:52

先週末ワシントンで日米首脳会談が行われ、さらにフロリダで両首脳はアーニー・エルスを交えてゴルフを楽しんだ。二人のゴルフの腕前は、大統領はドライバー280ヤード、ベスト66、ホールインワン5回とプロ並みだ。一方首相はベストが80台、アベレージは90台後半当たりのようだが、今回に備えて相当準備したとも伝わる。まさかこの27ホールに渡る日米のゴルフ対決において、ドル高・ドル安のどちらかが争われたわけではないにしても、米国の圧勝となったのは明らかだ。

 

ともかく懸案の通商・為替問題は余り話し合われた様子はなく、今後の経済対話とくに為替については財務相間での協議に委ねられることになった。財務長官に就任したムニューチン氏はドル高がウォール街にとり重要との考えを有していると言われるが、70歳のトランプ大統領が長年のビジネスで得た「ドル高が米国労働者の職を奪っている」との信念を変えるとも思えない。今後の貿易不均衡是正に向けてのトランプ政権の対応が注目されるところだ。

 

したがって円相場は、2016年に120円と100円の間で大きくスイングしたが、目下の円を巡る環境も、①原油価格が50ドル程度で安定していることや、②日銀はYCC(イールドカーブコントロール)を優先させることに専念し新たな追加緩和策を打ち出す可能性も乏しいなど、中立的で動きづらくなっている。

 

このように少し手詰まり感が出てきた相場の今後を占う上で手掛かりとなるのが購買力平価(PPP)だ。現状はと言えば、消費者物価ベースでは約128円、輸出物価ベースは約73円、企業物価ベースは約98円と言われている。輸出物価ベースが円相場の指標として最も適切かとも言われるが、百歩譲って企業物価ベースの98円前後がその中間値として妥当な水準と考えて良いのかも知れない。したがってこの水準を中心に10%程度の範囲で相場が動くと仮定すれば、円相場は88円~108円がゴルフに言うフェアーウエーというところではないだろうか。

 

つまり現状はフェアーウエイをはずしたラフとも言える110~116円範囲でのボックス的な動きが続くと見られる。しかしその次の局面は、目下主要6通貨に対するドル指数が14年ぶりの高水準にあることや米国景気の拡大もピークアウトが近いことなども考えあわせれば、フェアーウエーのセンター、つまり98円方向へと円が上昇すると考えて良いのではないだろうか。

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米中関係の行方

2017.01.22 13:52

1月20日にトランプ氏が第45代米大統領に就任した。すでに市場では昨年11月から大型減税とインフラ投資を柱とする経済政策への期待に、ニューヨークダウ平均株価は、18,000ドル水準から2万ドル水準へ、また10年物国債金利も1.8%水準から2.6%水準へと急上昇した。また為替市場でもレーガン大統領時代の強い米ドルが連想され、円相場も100円水準から一時120円が視野に入るに至っている。このようなトランプラリ―は、市場が「期待を先取りする」という性格を有していることを反映したものであり、政権が打ち出す具体的施策を見るにつれその期待がしぼんで行く可能性が高い。

 

とくに指名承認公聴会で政権内不一致が垣間見え、さらに共和党自体がトランプ大統領と一枚岩ではないことから、さまざまな局面で議会とホワイトハウスの間で対立が生じる可能性があることから政策実現の不確実性が高い。とりあえず政権発足直後の100日、つまり4月末までの期間がその試金石となるだろう。

 

このような環境下、最も気になるのが米中関係の行方だ。トランプ政権の根幹に親ロシア、反中国が据えられ、また保護貿易主義が追求される見込みである。すでにメキシコ、日本と共に為替操作国として中国を名指しで批判しているように、今後保護貿易主義を掲げて製造業の国内回帰が図られることになる。さらにその延長線上で米ドル高是正への動きが強まる可能性も捨てきれない。目下のところトランプ大統領と財務長官に指名されているムニューチン氏の意見は分かれているが、今後どのように収斂されて行くのか注目されるところだ。

 

また米通商代表部(USTR)代表のライトハイザー氏と共に、大統領補佐官にも対中強硬派であるナバロ氏が任命されたことからも中国に対する厳しい政策が注目されるところだ。実際トランプ大統領は選挙直後に祭英文台湾総統と電話会談し、「一つの中国になぜ縛られないといけないのか」との疑問を呈し、台湾を中国の不可分の領土とする原則の見直しに言及している。中国は目下のところトランプ政権の出方を静観しているものの、チベット、ウイグル、南シナ海などと共に台湾を「核心的利益」としているだけに、台湾問題において一歩たりとも譲歩するとは考えられない。したがって米中両国間の対立関係は軍事外交に止まらず人民元安や貿易不均衡問題を巡って一気に深まることになるだろう。つまり2017年の金融市場の最大の注目材料は米中関係であり、とりわけ為替政策の行方になりそうだ。当然メインターゲットは人民元となるとしても円も影響を受けることは必至だ。主要6通貨に対するドル指数でも見ても現在の水準が14年ぶりの米ドル高であることからも今後の下げ余地が大きい点は要注意だ。

 

 

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2017年の予測

2016.12.26 21:26

2016年も残すところ僅かとなった。年初120円で始まった円相場は100円割れを見たが、ほぼスタート時点に戻っての越年となりそうだ。結局今年は、6月のブレクジットと11月の米大統領選に振り回される一年だったと言うことだ。

 

この2大イベントが世界に与えた衝撃は、第二次世界大戦後定着していたグローバリズムが否定されたこと、そしてポピュリズムがエリートによる既成政治を飲み込んでしまったことだ。さらに、ふたつとも大方の事前予想がはずれたことが特筆される。とりわけ一流のメディアが予想を外したことは、メディアの限界と責任論にまで及んだ。特に世論調査に対して人々は本音を隠す傾向があることが明らかになった。実際建前として民主主義の観点からクリントン支持を述べていたのに、本音では高所得者への減税を約束するトランプを支持していた人が多くいたことからも、この種の調査の限界が分かった。

 

そもそも予測というのは人の心を読みとくことだが、人の心が変わりやすく、また建前と本音を使い分ける傾向があることからも、予測することの難しさが改めて浮き彫りにされた。とはいえ、予測の始まりであるアテネのデルポイの神託のご託宣が世の中の方向を指し示してきたように、今後も心を澄まして数々の予測を冷静に判断する必要があるだろう。

 

このように予測の難しさを嫌と言うほど知らされた2016年ではあるが、TIME誌は「Person of The Year」にトランプ氏を選んだ。過去にはキング牧師やエボラ熱と戦う医師団が、他方ヒットラーやプーチンが選ばれてきたものだ。トランプ氏がどちらのジャンルの代表で選ばれたのかは知らないが、2017年もこの人が相場の主役となるだろう。つまりトランプラリーが当面続くのだろうが、その転換点がどの水準で、何時になるが当面の注目材料であり、期待がはげ落ちた時の反動はかなり大きなものとなるだろう。

 

しばらくドルの売り場を探す展開になるが、注目される材料は、何といっても政治的脆弱性に晒されている欧州だ。すでに反移民と反EU感情は、ポピュリズムと手をつなぎ、欧州政治を席巻しようとしている。実際イタリアでは憲法改正が否決され、3月はオランダ総選挙、4~5月はフランス大統領選、9月はドイツ議会選挙と続く。このようにEUの主要国は政治日程が目白押しで、メルケル独首相も盤石とはいえない雲行きだ。欧州の一年後の首脳の顔ぶれがどのように変わっているか見えないのと同様に、EUがどのような姿になっているのか定かではなくなった。この欧州の動きが2017年のトランプラリーの足かせになることは間違いないだろう。

 

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トランプラリーの次に来るものは?

2016.11.22 20:36

トランプ大統領が誕生し10日。直後こそトランプリスクへの懸念から相場は急落したが、その後一転してトランプラリーとなり、ドル円相場はほぼ10円急伸した。この背景は、「トランポノミクス」つまり減税による財政拡大と雇用増大への期待が独り歩きしていることがある。さらにトランプ氏が2010年に成立したドッド・フランク法(金融規制改革法)を廃止する意向を示していたことも大きく作用している。これにより金融界は金融危機以前のように何でも自由にできるとの期待感が高まり、さらに財務長官にJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOやゴールドマン・サックスのムチナン氏と言った具体名が取りざたされるに連れて、ウオール街に安心感が広がっていることも影響を与えている。このように金融市場は大きな期待感に包まれているが、果たして夢見心地はいつまで続くだろうか? ご祝儀相場の次に訪れるのは、やはりドル高への懸念、金融危機再発の恐れそして安全保障体制への不安などの現実であり、相場は不確実性を増すのではないだろうか。

 

2016年は、英国のEU離脱(ブレクジット)と米大統領選の1年だったと言えよう。この行方を巡って金融市場は大きく振幅したが、この二つのイベントが残した教訓は、戦後70年に渡るグローバリゼーションとエリートがけん引する既成政治が大きな曲がり角に立っているということだ。そもそも自由貿易主義の利点を主張したのは、18世紀に「諸国民の富」を書いたアダム・スミスで経済成長をけん引するとした。またデビッド・リカードも、自由貿易を進めると各国で最も優位な産業の生産性が高まり、国際的な分業が進むとした。つまりこの「比較優位論」が実現される世界は合理的かつ効率的な成長を実現すると唱えたのである。このような学説と1930年代のブロック経済による第二次世界大戦勃発に至った事実への反省によりグローバリゼーションが進んできたが、これからはどうなるのか。TPP(環太平洋経済連携協定)が漂流し、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の時代が幕開けする可能性が高い。米国が主導した現代のパラダイムは今大きな転換点に直面し、中国が牽引する世界が始まるかも知れない。しばらく、トランプ政権の現実的な対応、そしてその実体を見極める日々が続きそうだ。

 

このように金融市場はユーホリア状態となり一部には120円説も飛び出している。しかし筆者は、円相場のフェアーウエイは95円―105円との考えを変えていない。したがって目下ドルを売り上がり、相場の自律調整を待つつもりでいる。相場の調整が入る時期については、早ければ年内にも、そして遅ければ1月20日の大統領就任から100日の蜜月期間の終わり、つまり4月末ごろになるかも知れない。

 

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鬼が笑うかも知れないが

2016.10.22 16:21

11月8日に投開票が行われる米大統領選があと2週間と迫った。ヒラリー・クリントンおよびドナルド・トランプ両候補は3度にわたるTV討論会を終え、クリントン氏が8-10ポイントリードしたまま最終盤に入った。とりわけアイオワ大学が運営する電子市場の一つである「大統領選先物」などによるとクリントン氏勝利の確率は80-90%を超えており、トランプリスクは薄れたと言ってよさそうだ。したがって市場はすでにその重石から解放されたようで、原油価格や米金利の上昇期待も相まって9月末の100円台から104円台へと上昇しさらに上値をうかがう。果たしてこの相場はトレンドとなるのか。筆者は大統領選がドル高のピークではないかと思っているのだが。

 

今後の円相場を取り巻く材料の中で最も注目されるのが為替需給だ。日本の経常収支は15年の16兆円に続き16年も1―8月は前年を上回るペースで推移している。このドル余剰感が年初来の円高を後押ししており目先変化の兆しはない。その中で今後の需給を左右するのは原油価格の動向で、石油輸出国機構(OPEC)による増産凍結合意やロシアの減産に対する姿勢だ。しかしこのような減産枠組みが実効化されるのかは現状不透明であり、NY原油(WTI)も50ドル水準を大きく上回る上昇は読みにくい。

 

次に注目されるのが年金を始めとする機関投資家の動向だ。ドル円が下落し100円割れを伺うたびにGPIF、ゆうちょ、かんぽなどによる介入モドキの大口の円売り注文が観測されている。ただし各投資家ともにポートフォリオ調整も進んだ現在ではドル買い余力は限定的であり、一過性の需給攪乱に止まることになるだろう。

 

そして3番目に注目されるのが日銀の金融緩和政策だ。総括検証においてその柱を量から長期金利操作へと移した。つまりETFによる株式市場に続いて長期国債市場をも支配しようとの試みだが、要するにこれまでの期待に働きかけることによる通貨安誘導の限界性を認めたと言うことだ。換言すれば、レームダック化が囁かれ始めた黒田日銀には、初期のような円安・株高を再現させるようなことはもはやできないと言うことだ。

 

以上述べてきたように原油価格の急上昇により為替需給のタイト感が創出されない限り一方方向での円安は読みにくい。つまり当面の円相場は100-106円でボックス相場を継続し、次の段階ではブレクジット直後につけた98円台の下抜けを目指すのではないか。さらに来年の話をするのは少し早くて鬼に笑われるかも知れないが、2017年は90円台定着の年となるのではないだろうか。

 

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